日本語

July 08, 2017

重言

 以前,ある頭痛薬のCMで「頭痛が痛いの」というのがあったが,このようにことばの一部が重複する言いかたを重言(じゅうげん)と呼び,冗長で誤っているとされている。「頭痛が痛い」以外の例としては以下のようなものがある。


  • 危険が危ない

  • 馬から落馬する

  • 後ろにバックする

  • 前に前屈する


3番目の例は「後ろ」と「バック」の意味が重複している。また,最後の例はある友人の高校時代の体育の先生の発言とのこと。
 この記事を書こうと思ったきっかけは,「炎天下の中」という表現を聞いたことである。これが「炎天下の下」であれば,「炎天下」の「下」は「~のという状況の下(もと)で」という意味であるから明らかに重言であり,たとえば『明鏡国語辞典』には注意として,「炎天下の下(もと)」は重言。「炎天下(えんてんか)」「炎天の下(もと)」が適切」とことわっている。しかし,「下(もと)」と「中」ではことばが異なるのであまり重言だとは感じられないのだろうか。「炎天下の中」という表現は最近よく耳にする(ような気がする)。しかし,この「下(もと)」は,同じく『明鏡国語辞典』によれば,「その人のいる所。また,その人やある物事の支配・影響などの及ぶ所」という意味であるから,「物事が起こっている,その状況下」(『明鏡国語辞典』)という意味の「中」とも同じ意味で,つまり「炎天下の中」も重言なのである。

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