研究計画・志望理由

May 19, 2017

研究計画書・志望理由書指導用シート

 院試塾の「研究計画書作成指導」などでは,研究計画書・志望理由書の構想段階からの指導を受けることができ,完成原稿を提出する必要はない(「研究計画書短期コメント指導」は完成原稿のみを受け付けている)。以前は考えていることを簡単にまとめた構想メモなどを受講生自身で作成して提出していただいていたのだが,このところはWord形式のファイルで表のフォーマットになっているシート類のテンプレートをお送りして,それに記入して提出していただいている。現在院試塾で使用しているのは以下の4種類である。


  • 研究計画書構想シート

  • 研究テーマ検討シート

  • 志望大学院検討シート

  • 志望理由検討シート


 「研究計画書作成指導」の指導開始時には「研究計画書構想シート」を提出していただく。このシートには以下の項目を記入するようになっている。

  • 研究目標

  • 研究の意義

  • 研究課題

  • 研究方法

  • 先行研究

  • 所属教員・開設授業


このシートから研究計画書の概要作成につなげていく。この作業については,「構想シートから研究計画書の概要を作成する」という解説資料(A4版2ページ)を配布している。この資料では,これまでの指導で多く見られた問題あらかじめ避けながら概要を書くように指示をしている。
 このシートの作成時に研究テーマで迷っているという相談を受けることがあり,その場合に使用するのが「研究テーマ検討シート」である。このシートでは5つの研究テーマの候補について,以下の点での比較検討を行う。

  • 興味・関心

  • 修了後のキャリア計画での成果活用の展望

  • 指導希望教員の研究・教育内容との整合性

  • 関連するテーマ・内容を扱いそうな大学院の授業

  • 存在を把握している先行研究


このシートの作成を通じて,もっとも具体的に書きこむことのできたテーマを研究テーマに選定するように指導していく。
 志望理由については,複数の大学院について比較検討する「志望大学院検討シート」から作成を進めていく。このシートに記入すべき項目は以下のとおりである。

  • 志望大学院[※最大3校]

  • 身につけたい知識・スキルなど[※最大5項目]

  • 知識・スキルなどを習得するうえで適切と思われる程度を4段階で評価

  • 評価の根拠となる教員・授業など


 このシートの作成を通じて志望大学院を選定したら,続いて,志望理由書作成の基礎となる「志望理由検討シート」の作成に進んでいく。このシートには以下の内容を記入する。

  • 修了後のキャリア目標

  • 実現に必要な知識・スキル[※最大5項目]

  • 知識・スキルに関連する所属教員

  • 知識・スキルに関連する開設授業

  • 知識・スキルに関連するその他の特徴


 上記のシート群を作成しながら自分の頭で考えていくことで,研究計画書や志望理由書を書くうえで,今の自分の考えのどこが問題でどこが足りないかを自覚的に意識していってもらうわけである。

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September 07, 2016

研究計画書に現状説明・背景記述が不要な理由

 院試塾の研究計画書関連指導で多く指導する内容の1つが,「現状説明・背景記述は不要である」という点だ。しかし,こうした内容だけを延々と書いて,「研究計画書」の内容の中心となるべき,自分の「研究」の「計画」があまりかけなくなってしまう場合が多い。今回は,なぜこのような「現状説明・背景記述」が必要ないのかを説明していこう。
 「研究計画書」という文書で伝達すべきことは,読み手である大学院教員にとって未知の情報でなければならない。つまり,自分の「研究」は読み手にとって未知の情報であるが,関連する現状や背景は専門家であれば当然知っているはずなのである。このような内容を延々と述べるのは,不要なことに字数を費やして本当に必要なことが欠けなくなるというばかりではなく,適切な伝達とはどういうことかがわかっていないと自分で言ってしまっていることになるのである。
 それではなぜこのようなことを延々と書いてしまう間違いを多くの人が犯してしまうのか。それはおそらく,学生時代のレポートや卒業論文と同じように考えているからであろう。レポートや卒業論文は,自分がどれだけ勉強して知識を身につけたかを教員に知ってもらうためのものであるから,授業の内容や自分が読んだ文献の内容,つまり読み手である教員が知っているはずの情報が中心となるのは当たり前なのである。研究計画書は目的が異なるので,当然内容も変わってきてしかるべきなのである。ところが,研究計画書で自分がいかに勉強しているかを「アピール」しようとする人が多く,そのために読み手が知っているはずの内容を延々と書いてしまうという誤りを犯してしまうのである。

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July 17, 2016

研究計画書構想シート

 これまで,院試塾の研究計画書関連指導では,初回の指導内容として,作成途中の原稿,構想メモ,相談などを受け付けていたが,最初の構想段階でよけいなことをどうしても書いてしまい,先に進めないというケースが多かった。そこでこの度,最初に考えるべき内容を表に記入してもらう「研究計画書構想シート」を作成してみた。このシートには現状分析や研究背景に関する項目はいっさいないので,最初から研究の内容について考えてもらう助けになるはずだ。
 シートの内容は「企業秘密」だが,これまでの指導経験をふまえ,最初に考えてもらうよう指示していた項目を表形式にまとめてある。これで受講生は考える作業を楽に行えるようになると確信している。

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July 15, 2016

自分の頭で考え,自分の言葉で書く研究計画書指導

 院試塾の研究計画書関連指導の特徴は,「自分の頭で考え,自分の言葉で書く」ことを重視していることで,これは院試塾の「合格者コメント」からも読み取れると思う。この指導方針を誤解して,「院試塾では何も教えてくれない」などと言っている人もいるようだが,このように受け止めるか,それとも「自分の頭で考え,自分の言葉で書く」ことが大切だと考えて,指導内容を真摯に受け止めて適切に対処したかどうかが,合否の分かれ目ではないかと思う。
 この点で特に大切なのが,神戸大学経営学研究科に合格された方のコメントに書かれている以下の内容であろう。


研究計画書は,文章そのものを誰かに添削してもらったり半分書いてもらったりして見栄えの良いものが完成出来てもそれで合格する訳ではありません。最近は,他人に殆ど添削されて直されたものをそのまま研究計画書として提出する受験生も結構いるのを大学院側も注意しているので,2次試験の口述試験では,研究計画書に書いてあることと本人の思考力,論理性のレベルを対比する為に突っ込んだ質問するなどして面接官もかなり慎重に確認しておられます。こうした試験に対処するには,研究計画書作成の過程で,何故大学院へ行くのかを考え,問題意識を十分に持ち,何故それが学問で究明すべきテーマなのかを自らに問い,またその為に対象とする学問領域でテーマに関係する先行研究がどれだけされているかを充分に把握した上で,良く自分で考えた結果を研究計画書に仕上げることが肝心と思います。

 院試塾の指導を受けた人は,誰に尋ねられても胸をはって,「この研究計画書は自分で書いたものだ」と言うことができる。つまり,細々と「ここはこう直してください」というような指導を院試塾はしないのである。学部時代に卒業論文を書いた経験があればわかると思うが,指導教員は卒業論文をすべて「添削」したりはしないのである。卒業論文はあくまで学生本人が自分の名前で提出するものであり,指導教員はその過程を「指導」する立場であるから,教員自身が書いたようなことにはならないように注意するものなのである。
 また,自分の頭で考え,自分の言葉で書くことの意義は,「埼玉県立大学保健医療福祉学研究科に合格された方のコメントの以下の記述からもわかる。

完成した研究計画書は,愛着が湧くほどのものになりました。自分が主体で考えたものであるので,面接での質問にも自信を持って答えることができるというのも頷けます。畑中先生とのやり取りを通して「考え抜く」という経験が出来たことは,私の大きな財産です。

自分の頭で考え,自分の言葉で書いたからこそ「愛着が湧く」とまで言えるものになるのである。
 さらに,「このように考えられる人こそが合格するのだな」と感じられる例となるコメントをあげておきたいと思う。九州大学地球社会統合科学府と立命館大学言語教育情報研究科に合格された方のコメントには,以下の記述がある。

上記のような指導の他に院試塾の大きな特徴として自分の言葉で書かせる指導が挙げられます。研究計画書を書き上げた後,畑中先生からコメントを頂けるのですが,ここには「答え」は書いてありません。例えば,私が先生からのコメントで最も多く頂いたのは「再検討しましょう」です。もしここに「答え」が書いてあったら私が書いた研究計画書にならなかったと思いますし,所属教員による口頭試問にもスムーズに答えることができなかったことでしょう。このように自分の力で「再検討」し文章を練り上げる作業は大学院入学後もきっと私の研究生活を助けてくれると思います。

皆さんもぜひ,院試塾の指導を受けてこれらの方々の後に続いていただきたいものだと思う。

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July 11, 2016

放送大学大学院修士全科生入試の志望理由書

 このブログの検索履歴で「放送大学 大学院 志望理由書」が上位にあったので,多くの人が志望理由書の書き方で迷っているのだろうと考え,ぼくなりの考えを書いておきたい。なお,院試塾では「放送大学大学院研究計画書ゼミ」で指導対応している。
 募集要項には「志望理由書」に記入すべき内容として,「研究題目を決めた理由と,1.で選んだプログラム[所属を希望するプログラム]を希望する理由」を挙げ,以下のように指示している。


 研究題目(研究計画書に記載したもの)を決めた理由と、1で選んだプログラムを希望する理由について
具体的に記入してください。(700字程度)。
 例えば、「現在の職務との関連、あるいは社会生活の中で、研究題目に関わる問題を深く考えるに至った経緯、選択したプログラムが研究題目を研究するためにふさわしいと考えた理由」などについて具体的に記入してください。

これを見るかぎり,研究計画書に書いた研究テーマをなぜこのタイミングで大学院という場で研究したいと考えるに至ったのか,また,そのために所属を希望するブログラムはどのような点でふさわしいと言えるのか,といったことを書けばよいと考えることができる。
 これまでの指導経験から言って,犯しがちな誤りとしては,「大学院での研究に対する『想い』や『意気込み』」を述べることが「やる気」のアピールになると考えてこれらの点について延々記述し,指示されている内容を書かないことや,放送授業の柔軟性を中心に言及しているものが見られる。後者は多少は関係があるので少しなら書いても差し支えないが,その場合でも通学制の大学院にはどうしても通えない理由がある点をしっかり述べる必要がある。また,志望プログラムの開設授業や所属教員の自分の研究内容との整合性を十分掘り下げて述べられるかどうかが勝負を分けると言えるだろう。

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July 10, 2016

研究計画書がうまく書けない人の犯しがちな間違い

 院試塾の研究計画書関連の指導では,指定字数がどれだけ多くても,最初は研究の目標と目標達成までに解決・解明しなければならない課題だけを述べた400字程度の研究概要を書いてもらうことが多い。ところが,特に字数が多いものに取り組む場合,焦ってしまって最初から制限字数いっぱいに書こうとする受講生がいる。こちらとしては最初に短くまとめることの意義を説明するのだが,焦っているから聞き入れてもらえないことが多い。そのうちこちらも「まあいいか」と思ってしまい,そのペースにおつきあいすることにはなるのだが,最後までいらないことばかりを書いてしまって本質が書かれていない的外れな内容になってしまうことが多い。
 研究計画書には何を書くべきなのかがよくわかっていない人が多いのである。よくわかっていないから指導を受けるのだ,という人もいるだろうが,だとすればこちらの助言はきちんと聞くべきだ。
 これまでにも何度も書いているが,研究計画書に書くべきなのは,自分の研究に関することがらである。それ以外の内容はあくまで「補足説明」にすぎないのである。にもかかわらず,調べたことばかりを「自分はこれだけ勉強しました」というアピールになるとでも勘違いしているのか,延々と書き連ねる人が多いのである。これでは貴重な字数を無駄にしてしまうばかりではなく,基本的な能力が欠如しているともとられかねないのである。

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June 12, 2016

自分で考えるための研究計画書指導

 院試塾の研究計画書関連指導では,受講生が「自分で考える」ことをとても重視している。これは,たとえ代筆などの不正行為(知らない人も多いようなので言っておくが,このような提出書類の「代筆」は重大な不正行為である)を疑われても,そんなことはないと自信をもって言い切れるよう,こちらから「ここはこういう内容をこのように書いてください」というような具体的な指示をしないためなのである。これを誤解して,院試塾の指導について,「必要なことを教えてもらえなかった」と言うような人もいるようであるが,それは結局「不正行為の手伝いをしてほしかったのに,手伝ってはくれなかった」と言われているということで,むしろ誇りに思うべきことなのだと考えているし,そのような意見を述べる人には学問を志す者としてもっと「恥を知りなさい」と言いたい。
 それでは,院試塾の指導ではどのようなことが「指導」されるのか。まず,書かなくてよいことが書いてあれば,「これは不要」ということを指導する。同時に,もっと具体的に掘り下げて記述すべき点については,「これはもう少し具体的に掘り下げて記述しましょう」と指導するわけである。この際,「ここにはこういう内容をこのように書きましょう」と指導することは不正行為の片棒を担ぐことになるのでしないわけである。また,たとえば参考文献表の形式が整っていない場合には,「学術論文の手引き書などを見て正確を期してください」という指導を行う。これについても,「おかしいので,正しい情報源を参照してきちんと直しましょう」ということは言うが,「ここをこのように直しましょう」とは言わないのである。
 院試塾はあくまで,大学院で研究を進めていくことのできる人が大学院に合格できるお手伝いをすることを目指しているのであって,その水準に達していない人を不正行為をしてまで合格させることは目的としていないのである。「合格者コメント」をご覧いただければ,まさにそういう人が院試塾の指導を受けて合格していることがわかってもらえるはずである。

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May 21, 2016

「研究計画書」とは何か

 今までにも何度か書いているが,ここでもう一度,「研究計画書とは何か」という根源的な問いについて考えてみたい。
 ここで最初に断っておきたいのは,私がここで出す答えは,「私だけが知っている」というたぐいのものではない,ということだ。つまり,学問の世界の「常識」に照らし合わせながら,「研究計画書」ということばについて素直に考えていけば,誰でもが到達できる解釈なのである。世間には,「ここでしかえられない情報」なる怪しげなものを売りにしている人がたくさんいるが,そういうたぐいのものではないことをまずはしっかりと認識しておいてもらいたい。
 まず,「研究」とは何か,ということを考えてみなければならない。『新明解国語辞典』によると,このことばは「問題になる事柄についてよく調べて事実を明らかにしたり 理論を打ち立てたり すること」という意味であるとなっている。つまり,「研究計画書」では,この「問題となる事柄」が何であり,「よく調べる」方法がどのようなものであり,「事実を明らかにしたり理論を打ち立てたりする」見通しについて説明しなければならないと考えるのがよいであろう。これらを院試塾の指導では,「研究課題」「研究方法」「研究目標・研究成果」というキーワードで考えてもらっている。「計画」とは,同じ『新明解』によれば「ある事を行なうために、あらかじめその方法・手順などを考えること」という意味だとあるから,上記の3つのキーワードのうち,「研究方法」を指すと考えればよいであろう。
 つまり,「研究計画書」ということばの意味を考えてみただけでも,研究計画書にはどのようなことを書かなければならないかが見えてくるのである。つまり,自分は大学院での研究でどこまで到達することを目指し,それにはどのような個人的・学問的・社会的・実務上の意味・意義があるのか(研究目標・研究成果),そのためにはどのような問題を解決しなければならないのか(研究課題),目標達成のために書く課題をどのように解決していくのか(研究方法)を書くべきだということになるのである。それ以外のことは書かないというのが,正しい研究計画書のありかたなのである。また,学問的にはそれらの成果は誰かが前に出しているものの「焼き直し」ではなく,何らかの点で新しいものである(新規性)ことが求められるから,「研究目標・研究成果」における学問的意味・意義とは,この新規性のことであると考えればよいであろう。
 大学院入試の研究計画書に取り組む人が多く口にする悩みの1つが,「まだ大学院に入ってもいないのに,研究の進めかたの詳細な計画を書くようにと言われても困ってしまう」というものである。しかし,ここには大きな誤解があると思われる。それは,これまでにそのことがらをある程度真剣に考えてきているのであれば,それに関する文献などで手に入るものは当然読んでいるはずであり,大学院入学語の研究の進めかたの展望を示せる程度の知識はあるはずだ,ということだ。そうでなければ,大学院などという場所でわざわざ「研究」などということをしなくても,単に入手できる文献を読めばその人の問題は解決できてしまうかもしれないのである。だから,「その程度のことはすでにすませており,大学院という高度な学問の場で,専門家である大学院教員の指導を受けながら学問的に問題にあブローチすることによってしかこの問題は解決できない」ということを示すためにも,研究方法の展望が示せる程度の知識は必要なのである。
 また,「研究計画書には先行研究が必要不可欠だ」というのをどこかで聞きかじってきて,自分が読んだ先行研究の内容をただ羅列的に紹介するという間違いも多く見られるのものだが,研究計画書の主眼が上記の「研究課題」「研究方法」「研究目標・研究成果」の3項目であることをしっかりと理解していれば,先行研究の内容も必ずこれらと関連づけて記述すべきであることがわかるはずなのである。
 と,このように説明して頭ではわかっても,実際に自分がそのようにかけているかという点に不安を持つ人は多いであろう。院試塾ではそのような人のために,各種の研究計画書指導を設置している。どのようなものがあるのか,また,トレを選んだら良いのかがよくわからない,という人は,まず「受講相談」フォームからご相談いただきたい。

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May 20, 2016

研究計画書の準備と内容

 院試塾の研究計画書関連指導に最初に提出される原稿に多く見られる問題点が,「どこかで重要だと『聞きかじった』内容を適当にちりばめている」ことである。たとえば,「研究計画書では先行研究が重要だ」というのをどこかで聞いたと思われる人が,先行研究の紹介をだらだらと書く,といった問題点である。たしかに先行研究は重要なのだが,「研究計画書」が「自分の研究について説明する文書」であることを考えれば,ただ先行研究の内容をだらだらと紹介してもダメなのである。「自分の研究について説明する」という主目的との関連で先行研究に言及すべきなのである。
 この点を見てもわかるように,研究計画書の準備段階では,内容に直接含まれないことがらをたくさん調べたり,内容を直接引用しない先行研究をたくさん読んだりしなければならないのである。しかし学問研究の経験(学部の卒業論文程度でもよい)のない人は,調べたことはすべて書かなければ「損だ」と思ってしまうのであろうか,あるいはそういうものだと思い込んでいるのか,準備段階で調べてわかったことをとにかくそのまま書いてしまうのである。
 また,これが研究計画書の準備に時間をかけなければならない最大の理由なのである。このことがわかっていない人は,なぜ研究計画書に1か月以上も時間をかけなければならないのかがわからず,院試塾の指導でいえば1か月以上6か月以内の「研究計画書作成指導」などではなく「研究計画書短期コメント指導」をその廉価版としてしか見なくなってしまうのである。しかし,これらは準備段階の指導を行うかどうかでまったく性質が異なるものなのである。

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March 16, 2016

院試塾の指導を受けるとなぜ研究計画書が「書ける」ようになるのか

 院試塾に寄せられる相談でもっとも多いのが,研究計画書に関するものである。なかでも特に多いのが,「なかなか研究計画書が書けない」という内容のものである。そこで足踏みして,ただ「書けない,書けない」と悩んでいても書けるようになるものではない。ところがそういう人が院試塾の「研究計画書作成指導」をはじめとする関連指導を受け始めると,何とか自分で考えながら研究計画書を完成させて合格をはたしていく。院試塾では,「このように書きなさい」という指導をするわけではないし,書くために必要な専門知識をこちらからどんどん提供するわけでもない。であるのになぜ院試塾の指導を受けると,それまで書けなかった研究計画書が書けるようになるのか。
 実は簡単な話で,研究計画書が書けないと悩んでいる人の多くは,最初から制限字数を書こうとしてどこから手を付けてよいかがよくわかっていないのである。特に項目指定がない研究計画書の場合,自分である程度内容の「細分化」ができないと難しいであろう。
 そこで院試塾の指導ではまず,研究内容の構造を考えるところから始める。まずはそれを考えてから,それに合わせて研究方法などを考えていくのである。このようにして,中間目標をいくつか設定するのが指導者の役割だと考えるのが,院試塾の研究計画書関連指導である。いきなり制限字数を書こうとするとどこから手を付けてよいかがわからなくて一歩が踏み出せないから,まずは小さな一歩から踏み出してみましょう,ということなのだ。
 なお,自分である程度書いてあるという場合に,特に注意してほしいことがらが2つある。それは以下の2点である。


  • 現状分析や背景知識の記述は,自分の研究を説明するために必要最小限に留める。

  • 先行研究の内容はただ説明するだけでなく,必ず自分の研究と関連づける。


実はこれらは,「よくない」研究計画書に多く見られる問題点をふまえたものである。書きやすいからといって現状分析や背景記述で「水増し」してしまうのは,不合格原稿に共通する問題点なのである。本人としては字数も埋まっているし,学問的な内容も書いたつもりでいるから「どうして不合格になったのか」と疑問に思いがちなのだが,研究計画書というのは自分の研究の計画を説明するための文書であるから,現状分析や背景記述をいくら入れても,要求されている内容を述べているとは言えないのである。
 また,「研究計画書に先行研究は不可欠だ」という知識をどこかで仕入れてきて,それをいい加減に理解してとにかく「数を稼ぐ」という姿勢でいくと,先行研究をたくさん,ただその内容を説明して,「私はこれだけ勉強しました」ということを示そうとするのであるが,これは間違いである。すでに述べたように,研究計画書では自分の研究の計画を述べなければならないので,先行研究と自分の研究との「関連づけ」が必要不可欠なのである。
 「研究計画書が書けない」といくら悩んでいても,それで書けるようになるわけではない。院試塾の指導で一歩を踏み出すきっかけをつかんでほしいものである。

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