大学院入試

July 14, 2017

大学院入試の面接

 推薦・AO入試などでのみ面接が課され,一般入試では面接がないのがふつうである大学入試とは異なり,大学院入試では面接が行われるほうがふつうである。大学院によっては「面接」ではなく「口頭試問」あるいは「口述試験」と呼んでいるところがあることからもわかるように,この面接は人物本位のものではなく(もちろん,人間が実際に対面するのであるから,失礼な態度をとればきわめて不利にはたらくだろうが),学問的なやりとりが中心となる。院試塾でも,「口頭試問・プレゼンテーション指導」を設置して,この面接の準備学習をサポートしている。ここで特に重視するのが,「問われていることの核心を1文で簡潔かつ明確に答える」ことである。この指導では指導形式を選ぶことができるが,院試塾が強くお勧めしているのが,こちらから提示した想定質問に対する回答にコメントをつけ,そのコメントの内容をもとに回答を練りなおしていく「メール指導」である。
 「問いにきちんと答える」というのは学問の基本的なスキルであり,当然ながら大学院入試の面接においてもきわめて重視されることであるのだが,多くの受講生が最初のうちは「思いつき」と「思いこみ」とで回答してくる。たとえば,想定質問のなかに「大学院での研究の方法論上の特徴を簡単に説明してください」というのがある。回答のポイントとなるのは「方法論」上の「特徴」がきちんと答えられるかどうかなのだが,単に方法を簡単に説明して終わり,という人が実に多いのである。
 また,最近では出願時に提出した研究計画書などを本人がきちんと書いているか,代筆などをしてもらって提出してはいないかを確認するための質問などもされることがあると聞く(『合格者コメント』より)。院試塾の「研究計画書作成指導」では,受講生本人が考えを深める過程を支援していくことに指導内容をとどめており,どのように尋ねられても胸をはって「自分で書いた」と言えるようにすることを目的としている。ところが,研究計画書などを「代筆」する業者などもけっこういるようだ。そのようなズルをしている受験生をあぶり出すためにも「面接」は利用されているということなのだ。

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June 29, 2017

礼節と大学院入試

 大学院入試の指導などという仕事をしていると,かなりいろいろな人の相手をすることになる。なかには礼節をわきまえない人がいて,ずいぶんと理不尽な要求をしてきたり,言いたい放題のことを言う人もいる。そういう人は大学院入試でもなぜか失敗する人が多い。いま「なぜか」と書いたが,これは実は当たり前ではないかと思っている。というのも,入試などというのは実は,「自分にはない基準」に合わせていく営みであるから,礼節とその点では共通なのである。たとえば研究計画書を書くということを考えてみても,その人の思った通りに書いた文章ではうまくいかないことが多く,こちらの示した道筋をきちんと踏まえて書くということが大切なのである。
 また,大学入試まではゲーム的感覚で「攻略」することも可能であろうが,大学院入試ではいわゆる「ペーパーテスト」の要素が少なくなるから,このような「攻略」が難しくなってくる。礼節との共通点もそれだけ増してくると言えるのではないだろうか。

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June 08, 2017

合格する人の「心の習慣」

 長い間大学院入試のための指導をしてきて,ひとつ気づいたことがある。それは,合格する人には共通の「心の習慣」があるということだ。これは,合格者の方が書いたくださった合格者コメントを読んでいただいてもわかると思う。
 その第1は何と言っても,学問の本質に忠実であるという点だ。大学院入試に合格することは,その後の学問の歩みの出発点にすぎない。その先を見すえて「本物の実力」を身につけなければ,がんばって勉強する意味がない。合格する人は共通して,そのような学問観をもって大学院入試を,自分が学問を身につけるための途中過程としてみているのだと思う。
 2つ目には,「自分できちんと責任をもち,他人に責任を転嫁しない」というのがある。つまり,勉強するのは自分なのだということをはっきりと意識し,そのための努力を惜しまず,うまくいかないのを他人のせいにしない,ということである。学問の道はけっして平坦ではない。思ったとおりに進まずにイライラすることもある。そのようなときに,「お金を払っているのだからもっとていねいに教えてくれてもいいだろう」などと言い出す人は,合格できない可能性が高い。合格者コメントを読んでいても,合格をはたした人たちはきちんと「自分のこととして」勉強していたのがわかる。
 今回このような記事を書くきっかけとなったのが,実は院試塾に対して批判的な意見の書いてあるブログを偶然見つけてしまったことだ(リンクをはるなどの紹介はしない)。その人の意見を読んでいると,「これでは合格しないだろうなぁ」と思ってしまったのである。社会人が大学院を目指すという趣旨のブログのようなのだが,その後合格したという内容の記事はなく,ほとんど院試塾を批判するためだけに開設されたようである。この人の書いていることと合格者コメントに書かれていることを比較していると,合格する人は合格する「心の習慣」をもっているのではないか,と思ったしだいである。

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May 30, 2017

「無知の知」の重要性―自分の「いたらなさ」を知ることが合格に結びつく

 これまでにこのブログでも何度か書いているが,大学院入試というものをきわめて「甘く」とらえている人が実に多い。たとえば研究計画書などを準備するにしても,ただ字数が埋まっていればよいととらえて出願し,不合格という結果に直面してその「甘さ」に気づくのである(こちらの合格者コメントにもあるように)。英語にしても,大学入試でなんとなく乗りきれたというイメージだけであまり準備をせずに受験して,その問題の難しさに驚いてしまった,などという話もよく聞く。
 哲学と同じで,大切なのは「無知の知」なのである。すなわち,自分の「いたらなさ」に気づいてそれを正していくという姿勢こそが,合格へとつながる道なのである。

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May 28, 2017

大学院入試の英語学習―時間をかけてじっくりと

 社会人入試などで出題されない場合も増えつつあるが,大学院入試の筆記試験科目で依然として英語はウェイトが高い。TOEFL / TOEICなどで代替し,独自の英語試験を課さない大学院も増えてきてはいるが,英語が出題される場合,中心となるのは学術英文の英文和訳が中心である。少なくとも概説書レベルの英文が出題されるので,特に英語が苦手という人はある程度長期的にとりくむ必要があり,場合によっては1年以上の期間を見こんでおく必要があるのだが,この見通しが甘く,3か月程度で何とかなると考えている人が多いようだ。
 院試塾の英語講座でもっとも初歩レベルから学習できる講座は,高校英語の基礎である基本5文型のレベルから読解の基礎となる文法を例文の和訳を通じて学ぶ「英文読解スーパーベーシックゼミ」である。この講座でさえもけっこう苦労する人がいるのが実情だ。こういう人は,「何となく」「雰囲気で」読むくせがついていて,文法に従って正確に読むという習慣をつけるのに苦労するのである。たとえばこの講座の第1講では,文型の区別をつけて以下の2つの文の意味の違いを読みとることを学ぶ。


  1. He looked angrily at me.

  2. He looked angry with me.


並んでいる要素の意味はほとんど同じように見えるから,文法的な区別をつけながら読まないと同じような訳になってしまう。ところが,1.の文では[S]He [V]lookedにangrilyという副詞とat meという副詞句がついているのに対して,2.の文では[S]He [V]looked [C]angryにwith meがついているのである。特に重要なのは,1.ではangrilyが副詞で動詞lookedを修飾しているのに対して,2.ではangryが形容詞で補語になっている点である。また,1.のatはlookedとつながってlooked at ~という「連語関係」をなしているのに対して,2.のwithはangry with ~という連語関係をなしているという点である。これなども「雰囲気で」読んでいる人は{with=いっしょに」という固定的な図式でとらえてしまうのである。上の2つの文の正しい訳は,1.が「彼は私を怒っているような目で見た」で,2.が「彼は私に対して怒っているように見えた」である。
 この講座の第3講「助動詞」では,文法学で法助動詞の「根源用法」と「認識用法」と呼ばれているものの区別を(この用語は導入せずに)学ぶ。特にmayの認識用法は高校までの学習で「~かもしれない」と覚えこんでしまっている人がいて,これから脱却できない人が多い。さらに文型の多少応用的な母音を含む次の文を見てほしい。

  • A family may have both parents working.


上の文のmayは頻度・確率を表す認識用法で,50%前後の確率を表す。また,[V]have [O]both parents [C]workingは第5文型のO+Cが状況を表していて,そのような状況をある家族がもっている確率は50%前後である,という意味を表している。これをどのような日本語で表せばよいか,というのがここで考えるべきことなのであるが,多くの人は単語に対応させている訳を何とかつなぎ合わせて訳すという悪いくせがついているから,「働いている両親を持っている家族かもしれない」などという,「意味不明な」日本語を訳として書いて平気なのである。このような訳を書こうとしている自分に気づいて理解の方向性を軌道修正できるようにならなければ,大学院入試レベルの英文など理解できるようにはならないのである。
 「英文読解スーパーベーシックゼミ」で読解の基本となる文法を12講で学んだ後に学ぶべき講座として,院試塾では「大学院入試英語基礎講義」を設置している。この講座は「基礎」と銘打ってはいるが,題材は大学院入試で出題されたことのある英文である。この講座は「基礎講義」という名前からわかるように,紙上講義を読んだうえで訳にとりくむ形式になっている。この講義の第1講の第1文は以下のようになっている。

  • With the remarkable increases in longevity, and increasing awareness that risks associated with advancing age may be reversible, health promotion, not just disease prevention, is emerging as an important theme in geriatrics.


この文の解説例は「大学院入試英語基礎講義」のウェブページでサンプルとして公開しているのでぜひご覧いただきたいのだが,たとえば[共通]With [A]the remarkable increases in longevity and [B]increasing awareness taht ... reversibleという並列・共通構文,awareness that ...という同格のthat,associated with advancing ageという過去分詞の句がrisksにかかっているという後置修飾,この過去分詞句のもとの形がassociate A with Bであるという理解,[A]health promotion, not just disease preventionという接続の構造と意味,emerge as ~の解釈など,注意すべき点はきわめて多い。このように「複雑な」英文に慣れていない人は,これだけのポイントを同時に考えながら読まなければならなくなると「圧倒」されてしまうのである。しかし,このレベルの学習を乗りこえなければ,大学院入試レベルの英文読解力は身につかないだろう。
 さらに勉強を積み重ねていくためには,院試塾の既設英語講座を利用する以外に,Oxford University PressのVery Short Introductionsの読解学習などを進めていくことができる。たとえばこのシリーズの1冊であるKnowledge: A Very Short IntroductionのIntroductionの最初の段落は以下のようになっている。

The hunt for knowledge has never been easier. Hard questions can be answered with a few keystrokes Our individual powers of memory, perception, and reasoning can be double-checked by distant friends and experts, with minimal effort. Past generations would marvel at the number of books within our reach. (Amazon Kindle版位置No.521-5)

意味をぼんやりと理解するだけなら簡単であろうが,きちんとした日本語に訳すとなるとかなり難しいのではないだろうか。内容をきちんと読みとって,それをきちんと意味をなす日本語で表現するという訓練を積んでおく必要があるのである。

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May 26, 2017

忙しさに負けてはいけない―「計画のグレシャムの法則」

 「社会人のための大学院研究生活入門ゼミ」での指導で必要が生じたので,沼上幹『わかりやすいマーケティング戦略』(有斐閣アルマ)をKindle版で読んでいる。以前専門学校でITパスポート試験や情報処理技術者試験関連の科目を教えていたときに出てきた概念が出てくるので内容も比較的親しみやすいのだが,序章で述べられている「計画のグレシャムの法則」というのが,多くの大学院受験生の状況をピタリと言い当てているのに感心した。「考えることの大切さ」というタイトルのセクションで,沼上はこのように述べている。


「悪貨は良貨を駆逐する」という《グレシャムの法則》を記憶している人は多いだろう。しかし,《計画のグレシャムの法則》を知っている人はそれほど多くはあるまい。ノーベル経済学賞を受賞したハーバート・サイモンが,先の法則にならって付けた名称である。これは「ルーチンな仕事はノン・ルーチン(創造的)な仕事を駆逐する」という人間の性向を指したものである。つまり,期日の迫った単純な仕事が山のように積まれていると,人間は長期的に考えなければならない重要な計画など考えなくなってしまうということである。毎日毎日忙しくてたまらんという人は,本来ならば1年後あるいは5年後までみすえて仕事の全体像を考えておくべきなのに,そういった長期的な課題を常に後回し後回しにして,結局何も考えなくなる。「貧乏暇なし」だから「貧すれば鈍する」のである。(Amazon Kindle版位置No.289-99,下線引用者)

本当にこのとおりなのである。毎日の仕事が忙しいからといって,大学院に行きたいとは思っていても,なかなか勉強に着手することができない。あるいは,勉強をはじめても,出願が迫っていて書類を間に合わせなければならないからといって,内容をしっかり深く考えることができない。特に後者は深刻で,そういうことをくり返していると,何度もチャレンジしているのになかなか合格しない,ということにもなりかねない。
 合格のためには,目先のことにとらわれず,しっかりと目標をみすえて,「本質的な学び」を積み重ねていくことこそが大切なのだ。大学院に行くのは何のためか,あるいは,そのための勉強は本当は何のための者なのかをきちんと考えたうえで勉強を進めていれば,進むべき道を見誤ることはないのではなかろうか。

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May 25, 2017

大学院入試の小論文―問題は「知識不足」ではない!

 院試塾では「大学院入試小論文指導」を設置して,大学院入試で出題される小論文の指導を行っている。そこで多く見られる考え違いについて指摘しておきたい。
 小論文が書けないのは知識が足りないからだと思っている人が多いのだが,実は「問いに答える正しい姿勢」が身についていないことや,「学問的な文章は論理的に『構造化』して書く」のが重要だというのがわかっていない,という問題点が実は多いのである。そこで上記の「大学院入試小論文指導」では,いきなり制限字数いっぱいまで書くのではなく,解答の核心をまずは1文で明確かつ簡潔に表現し,その後それを「トピック・センテンス」として,トピック・パラグラフとなる第1段落を書き,それに続くトピック・センテンスをさらに書いて,その内容をさらに膨らませていく…,という指導を通じて,この「問いに答える正しい姿勢」と「論理的に『構造化』して書くこと」とを徹底的に身につけていってもらう。

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May 13, 2017

放送大学大学院入試英語の難易度

 院試塾では最近,放送大学大学院入試の英語問題を指導する「放送大学大学院入試英語演習」を開設した。その案内ページでは過去の出題内容を説明する表」が閲覧できる。また,放送大学公式サイトの過去問題一覧ページでは,過去問題の実物をPDFで閲覧できる。院試塾の演習講座での指導は設問のみとしているので,学習のために本文の全訳例を配布することにしている。これを作成してみてわかるのは,放送大学大学院入試の英語問題の本文を的確に読みこなすためには相当の英文読解力が必要だということである。
 設問の形式は,社会経営科学プログラムの和訳主体の出題を除けば,「訳す」という作業はあまり求められていない。人文学プログラムなどはほとんどが選択式の問題である。つまり,設問に対処するというレベルで考えると,難易度は高くないと思ってしまいがちなのではないだろうか。そういう人はぜひ,志望プログラムの問題を実際に見てほしい。今の自分の英語力で対応できるかどうか,事前によく確認して,いざ試験の場で問題を見たときに「こんなに難しいのが出るのか!」などとは思わないようにしてほしいものである。
 なお,英語が本当に苦手だというレベルから学術英文の読解の基礎までを学ぶ講座として,院試塾では「大学院入試英語入門プログラム」を設置しており,放送大学大学院修士全科生入試を目指す「放送大学大学院トータルサポートパック」にも含まれている。放送大学大学院を目指す人たちの英語力向上のお役に立てれば幸いである。

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May 12, 2017

放送大学大学院入試の英語問題

 このブログでも何度か解説しているし,YouTubeの動画講義「放送大学大学院入試」でもふれているが,資格条件を満たしていれば誰でも入学できる学部課程とは違って,放送大学大学院に修士全科生(修士号の取得を目指す学生)として入学するためには入試がある。入試科目はプログラムによって専門筆記のみ,あるいは専門筆記と英語となっている。この英語がなかなか本格的で,英語に対する苦手意識のある人にはかなり厳しいものとなっている。
 放送大学大学院修士全科生の筆記試験問題は,公式サイト内のWebページで公開されているので,ぜひ一度確認してみることをお勧めしたい。著作権の問題から,年度・プログラムによって本文の公開状況にはばらつきがあるが,幸い平成29年度分については,英語が出題されるすべてのプログラムについて本文まで公開されている。
 院試塾では,「A href="http://inshijuku.life.coocan.jp/oujtsp.htm">放送大学大学院トータルサポートパック」で研究計画書・志望理由書の指導に英語・小論文・面接試問の準備学習をセットにしたパックを提供しているが,上述のように問題の入手可能性がプログラムごとに異なり,また出題内容にもばらつきが見られるので,英語学習については院試塾の「大学院入試英語入門プログラム」での学習としているが,過去問題を用いた指導については「放送大学大学院入試英語演習」で対応可能である。また,過去問題に追加する形でオリジナル課題での指導については,「院試英語フリープラン」で対応する。「受講相談フォーム」から適宜ご相談いただきたい。

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April 28, 2017

大学院入試を決意するうえで考えておくべきこと

 現在指導している受講生から,以下のような感想をいただいた。


  • ○○系大学院に行きたい→どこへ→なぜ→〇〇先生,プログラム・・→自分は〇〇が勉強・研究したい、という一連の流れが連想できていないように思う

  • 自分が研究計画書がどういうものなのかの認識・理解の甘さを痛感して,改めて書籍を当たってみる必要があると感じている


実はこの人たちは,今の段階でこのことに気づけただけでも「まだまし」なのだ。というのも,出願1か月前にバタバタと願書を取り寄せて,いざ研究計画書を書こうとして書けない,という事例が非常に多いのである。院試塾の指導では,まずこのような点から重点的に考えていく。だからこそ,長期的な利用をお勧めしているわけである。

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