経済・政治・国際

November 14, 2006

文法書の「盲点」—目的を表すif S is to V構文

 S is to V構文がif節で用いられると,通常「目的」を表す。院試塾の英語講座で主に推奨している『ロイヤル英文法』の第12章第2節221「」の項には,「be toで1つの助動詞に似た働きをすることが多い」とあり,「予定」「運命」「義務・命令」「可能」「意志」の5つの意味が挙がっている。今回とりあげたいのは,このうちの「意志」となっているものだ。なお,『ロイヤル英文法』の用例はIf we are to get there by noon, we had better hurry.「昼までにそこに着こうとするなら急いだほうがいい」で,注意書きとして「条件節に用いるのがふつう」となっている。
 この記述で間違いというわけではないが,実際の英文を読んでいると,これだけでは不十分なケースに出くわすことがある。たとえば,院試塾の「心理英語実践講座」の課題文には以下のような文が登場する。


During the second individuation process, it is this very internalized parent which must be relinquished if development is to progress.

下線部を「発達が進もうとするなら」としたところで意味不明である。こうなるのはなぜか。if節の主語が無生物であるため,そこに意志を読み取ることは基本的に不可能なのだ。
 別の文法書も見ておこう。詳しいことで定評のある『英文法解説』(江川泰一郎著,金子書房)はどうか。こちらは「意志」ではなく「目的」としているが,2つ挙がっている例文はどちらも人間が主語で,無生物が主語になっている用例は載っていない。上の引用をどう訳せばよいかについて直接応用できる記述はないが,「解説」に見られる以下の記述はこの関連で重要であると思われる。

be to ~の用法を理解する上の指針として,Curme (Syntax, p. 435)は「この形は主語以外の第三者の意志を伝えるためによく用いられる」(This form is much used to convey the will of someone other than the subject.)と言っている(p. 321)

上の引用の主語はdevelopmentであるから,これ自体に「意志」は認められない。江川が引いているCurmeの記述によるなら,「主語以外の第三者の意志」を人間の意志と考え,たとえば「発達が進んでほしいなら」とすればよい。あるいは,「目的」というキーワードからif節を目的のto不定詞に書き換えてin order for development to progressとすれば,「発達が進むために」とすることができる。
 文法書をしっかり活用することはきわめて大切だ。しかし,すべてのことが書いてあるわけではなく,自分の頭で考えて応用することも重要なのだ。この記事がその参考となれば幸いだ。

| | Comments (0) | TrackBack (0)