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November 04, 2011

国際教養大学の英語・英語小論文

 国際教養大学の2次試験では,A・B日程で「英語」,C日程で「英語小論文」が課される。いずれも他の大学の入試英語とはかなり違う独特のもので,「英語」では2~3ページの英文を読ませ,その内容に関連するエッセイを250語以上で書く。「英語小論文」は資料文がなく設問のみで,やはりエッセイを書かなければならず,分量は300~500語となっている。試験時間はA・B日程が120分,C日程が90分。一般的な国公立大学2次試験の,いわゆる自由英作文では100~150語くらいが標準的なところだから,かなりの長文を書くことになる。だいたいで言うと,TOEFL iBTのライティング問題1題分。
 このような入試問題を出題するのは,入学後の勉学を強く意識しているからだと考えられる。まず,ほとんどの授業は英語で行われる。「英語で行われる」というのは,単に講義が英語で行われるだけではなく,提出物も試験・レポートも全部英語で,ということであろう。もちろん,教科書やその他の配布物もそうであると思われる。余談になるが,ぼく自身が筑波大学の1年で受けた「英語II」(英会話)の授業は,日本人の先生(ある著名な日本語統語論の専門家)から習ったが,教科書はCambridge Textbooks in Linguisticsの1冊であるLogic in Linguisticsで,授業を英語で行い,レポートも英語で書いた。こういった授業がほとんどすべて,というのが国際教養大学なのである。
 だから,本気で入学を考え,そのために勉強を進めるのであれば,「対策」というケチな発想はまず捨ててほしい。もちろん入試に合格することは大切だが,今から学ぶことすべてが,大学入学後の勉学に必要不可欠なツールである英語をしっかりと身につけることにつながるのだ。
 院試塾では,ぼく自身のTOEFL iBT書籍の執筆経験,大学院での英語講読・英作文・英会話(特に,英会話はすべて英語で授業を行う)やこれまでの大学入試指導経験をふまえ,「国際教養大学入試英作文(エッセイ・ライティング)添削講座」を設置し,すでに申込受付をはじめている。この記事では,入試の内容を簡単に紹介するとともに,必要な学習について説明したい。

試験の内容



  • A・B日程
    英語の資料文(2~3ページ)を読み,その内容に関連する250語以上のエッセイを書く。エッセイは,自分の考えや具体例を含むオリジナルなものであり,かつ,指示にしたがって資料文の内容とも十分関連づけなければならない。(※太字部分に相当する設問指示は,2013年度入試からはなくなった。)

  • C日程
    英語による設問指示にもとづき,300~500語のエッセイを書く。


これまでの出題内容



  • 2013年度入試


    • A日程
      資料文:睡眠途中での覚醒の効用を説明するもの。(出典:新聞記事)
      設問:人間に睡眠が必要であることについて,自分の考えや経験を本文をもとに説明するもの。

    • B日程
      資料文:気象災害が社会や経済に及ぼす影響について解説するもの。(出典:雑誌記事)
      設問:人間は気象災害に対処できると考えるかどうかの意見を,本文の情報にもとづいて論じさせるもの。

    • C日程
      気候変動が真剣に心配すべきものであるかどうかについての意見を述べさせるもの。


  • 2012年度入試


    • A日程
      資料文:国際的なビジネスを行ううえで注意すべき文化・習慣の違いを説明するもの。(出典:雑誌記事)
      設問:グローバリゼーションが進むにしたがって,それぞれの文化や国際ビジネスの方法は変わるかどうかを,根拠を挙げて説明するもの。

    • B日程
      資料文:英語の発展史と広がりについて解説し,言語は現在使われている形が完成形で,それ以前は未完成のものだという誤解を解こうとするもの。(出典:概説書)
      設問:筆者の見解に対する自分の意見を,資料文に挙がっている根拠や自分なりの根拠を示しながら述べるもの。

    • C日程
      イエール大学所蔵のマヤ文明の遺物をペルー政府に返還すべきかどうかについての意見を述べるもの。


  • 2011年度入試


    • A日程
      資料文:日本・中国の若者が,パソコンや携帯電話に頼らなければ漢字が書けなくなりつつある現状の記述と,それに関する意見などを解説するもの。(出典:新聞記事)
      設問:若い日本人にとってこれが問題だと考える場合にはどのような対策を講じるべきか,問題ではないと考えるのであればその根拠を述べるもの。

    • B日程
      資料文:異文化コミュニケーションにおいて,ノンバーバル(非言語)コミュニケーションが果たす役割とそこから生じうる問題点を解説するもの。(出典:学術英文読解の教科書収録の解説文)
      設問:日本人どうしのノンバーバル・コミュニケーションについて述べたうえで,外国人が日本人とコミュニケーションをとるうえでの注意点を提案し,その根拠を述べるもの。

    • C日程
      核家族化のトレンドをふまえ,10年後の日本社会がどうなっているか,特に両親と兄弟以外の親族とのふれあいが残っているかどうかについて,具体例や根拠を含めて述べるもの。


  • 2010年度入試


    • A日程
      資料文:人間が自然を変えて利用することの必要性や問題点と,相互の依存関係を説明するもの。(出典:概説書)
      設問:人間の文化や繁栄が必要とするものと,自然保護とのバランスをとる方法を3つ説明させるもの。

    • B日程
      資料文:移民が国家の独自性に対して悪影響を及ぼすという主張を紹介したうえで,移民の必要性や利点を解説するもの。(出典:国連開発計画の報告書)
      設問:日本は移民にどう対処すべきかについて,移民の利点や問題点を論じるもの。

    • C日程
      テクノロジーは教師にとって代わることができるか,それとも教師はテクノロジーがはたせない役割を果たし続けることができるかを述べさせるもの。



 詳しくは過去問題を赤本などで確認してほしいが,上記の簡単な説明を見ただけでも,英語「で」書かれた文化や社会の問題の説明文を短時間で的確に読みとり,それに対する自分なりの考えを,やはり英語「で」述べることが要求されていることがわかる。

試験での解答作業の進めかた


 実際に試験問題を解く際には,以下のように作業を進めていくことになるだろう。

  1. 資料文の読解


    • 資料文を読みながら,段落ごと(新聞記事のように形式段落が細かく区切られている場合には,より大きな意味段落ごと)に,筆者がいちばん言いたいことを抽出する。できればマインドマップや簡単な図解にまとめて,あとから手早く参照できるように準備することが望ましい。


  2. エッセイの構想を立てる


    • 設問指示にしたがって,まずは自分の主張を簡潔に1文にまとめる。これが全体のトピックとなる。

    • 設問指示で提示することを求めている根拠や具体例の核心を,それぞれ1文ずつにまとめる。多くの場合,3つ提示することが求められているので,3文を作ることになる。


  3. エッセイを実際に書く


    • 構成はIntroduction→Body(複数段落でもよい)→Conclusionの3段構成とする。Introductionを全体のトピックセンテンスで,Bodyの各段落を3つの要素のトピックセンテンスではじめるのが基本。

    • 各段落では,トピックから外れたことを書かないよう,十分注意する。1パラグラフ・1トピックは,英文ライティングの基本中の基本。

    • Conclusionでは全体の内容を総括し,そこから自分の主張が導けることを強く印象づけるようにする。



 以上,受験生の参考になることを願っている。

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