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April 01, 2008

ぼくの頭に住みつく人たち

 といっても恋愛などの話ではない。「研究計画書作成指導」や「社会人のための大学院研究生活入門ゼミ」の日々指導をしていくなかで,その人たちとともに学べることが楽しくて,ついついそのテーマなどについていっしょに考えたくなり,また現に考えている人たちのことである。
 もちろん,研究計画書などを指導していると,大なり小なりこうなる。自分がもともと興味を持っているテーマをやろうとしている人を指導しているとついつい力が入るのも事実だ。しかし,それまでにあまり興味を意識していなくても,おもしろそうに取り組んでいる人の相手をしていると,だんだんその世界に引き込まれ,ぼく自身も本を読んだり考えたりしていくことがある。
 その代表とも言えるのが,数年前に入学書類を指導し,大学院入学後の課題レポートも継続指導し,その後いっしょに論文を書くようになった人である。特に医療と消費社会との関わりについて,今も共同で研究を続けている。この人の指導を始めた頃,ちょうど医療短期大学で英語を教えていて,ちょうど医療社会学の英文を読んでいた。そこにこの人からの指導申込があった。ある種の「運命」なのかもしれないと思うことすらある。
 その後,医療と社会科学との関わりについて何人かの人を指導した。指導としての成否(つまり,大学院の合否)は別にして,自分の関心に従って本を読んでいて「あの人ならこの本には興味を持つだろう」とふと思ってメールを書くこともある。
 テーマは何もこの問題に限らない。すでに書いたように,指導している相手に触発されて新たに興味を持つこともある。このようにして,誰かを指導することと自分自身が学ぶこととがつながり,好循環を生む。それがまた別の人の指導にも生きてくる。本当の意味でおもしろがって勉強している人にふれることは知的に楽しい。
 院試塾での指導に限らない。予備校,専門学校などの教室で直接教えていても,こうしたことはある。教室での対話は限られているが,質問に来たときに直接話したり,実習中にちょっとした話をして触発されることもある。
 このようにして,指導を受ける側と指導する側がともに高まっていく,というのが,教育の理想の姿ではないかと思う。もちろん,こうしたことばかりではないが,たまにでもこうしたことがあるから,教師家業はやめられない。

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