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June 03, 2007

文章の書き方の基本

 「社会人のための大学院研究生活入門ゼミ」は,最大1年間で大学院進学の意味を考えながら,研究テーマを探究していく講座である。複数の課題レポート作成を通じて探究を行っていくが,受講生の大半が文章を書くことで苦労する。
 受講生は専門職に就いている方が多く,テーマも漠然とはしているが地に足のついたしっかりしたものが多い。「探究のしがいのある」テーマである。しかし,せっかく頭の中ですばらしいことを考えていても,それを伝えるための文章がなかなかうまく書けない。といっても,いわゆる「下手な文章」というわけではない。表現はそれなりのものがきちんと使えているのだが,構成が適切でなかったり,具体性が十分でなかったりする。これまでの指導経験から,この原因が「最初から完成字数を書こうとする」ことではないかと考えるようになった。
 ゼミの課題レポートは通常2000字程度である。受講当初はあまり細かい指示をしないから,2000字をいきなり書こうとする受講生も多い。最初から「たくさん書かないといけない」と思っているからだろうか,あるいは普段そういう文章の書き方をしているのか,背景から入るパターンが多い。もちろん,背景の説明も時には必要だが,学術文書はトピックから入る形式にすることが適切だ。また,前半で背景を書いてしまったために,本当に書くべきことが十分に展開できない場合もある。学術文書は思考を十分に整理した結果を書くべきものなのに,これでは整理途中のものを出してしまったのと同じことになってしまう。もちろん,このゼミではこうした探究過程も支援するが,いきなり2000字を書こうとすると,本当に必要なことがほんの少ししかかけない,という場合もある。
 そこでぼくが指導するのは,まずは1文から書き始めることだ。いちばん言いたいことを,まずは1文で表現する。これが意外に難しいようだ。しかし,これができないというのは,思考が十分に整理されていない証拠である。書くべき優先順位を明確に意識するためにも,1文から始めてみましょう,という指導をする。
 1文の次は1段落だ。この時,この1段落がその後全体の構成の縮図となるように考える。これによって,書くべき項目を明確に意識することができる。この後一気に書ける人もいれば,さらに1段落ずつ,場合によっては各段落のトピック・センテンスだけを書いてもらう必要のある人もいる。
 研究計画書や志望理由書がうまく書けないと悩んでいる人にはぜひ試してみてほしい。1文から入ることで,構成がずっとしっかりし,また書くべきことの優先順位もずっと明確になるはずだ。

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