relativeと「相対的な」—名詞の読みほどきと関連して
まずは以下の引用を見てほしい。院試塾の「心理英語実践講座」の課題文の一部である。下線部をどう読みほどくかを中心に考えてみたい。
The investigation of infants who have been maltreated provides a unique opportunity for examining the relative importance of extremes in the caregiving environment presumed to influence subsequent attachment behavior.
まず確認しておくが,このrelativeは形容詞である。残念なことに,文脈を検討せずに「親類」などと答える受講生もいる。「心理英語実践講座」では,一度事前学習課題に解答してから添削課題に取り組むという形式をとっているため,事前学習の段階で一度修正し,添削課題を解答する段階では形容詞であることは確認済みとなっているが,もしそうでなければいったいどんな訳になるのだろうか。
さて,下線部をどう解釈するか。「危機の相対的な重要性」でもわからなくはないが,何だかピンと来ないのではなかろうか。むしろ,そう感じられることこそが,深い読みへとつながっていく。
まずは英和辞典でrelativeを引いてみよう。院試塾で推奨している『プログレッシブ英和中辞典』を引いてみても,今回はあまり有益ではなさそうだ。1番目の語義に「比較上の;相対的な;比較的な,ある程度の」とあって,a relative concept「相対概念」/live in relative comfort「比較的安楽に暮らす」という例が挙がっているにすぎない。『ジーニアス英和辞典』を見ても,記述はそう変わらない。
英英辞典はどうか。LDOCEを見ると,having a particular quality when compared with something elseという語義があり,用例としてThe relative merits of both approaches have to be considered./her opponent's relative lack of experienceなどが挙がっている。最初の用例は「両方の方法のそれぞれどんな点が優れているかを考えなければならない」ととらえることができるし,2つ目は「彼女の対抗馬が彼女に比べて経験が少ないこと」と考えればよい。つまりどちらも,語義のとおり「他と比べた場合の」と解釈することができる。また,Cambridge Advanced Learner's DictionaryにはWe weighed up the relative advantages of driving there or going by train.という用例が挙がっており,これも同様に理解できる。この理解をもとにrelativeの基本概念を図解すると,以下のようになるだろう。
LDOCEの用例はどちらも二者間の比較であるが,最初の引用を見てもわかるように,relativeは必ずしも二者間の比較に限定されないとかんがえてよいだろう。COBUILDにはI reflected on the relative importance of education in 50 countries.という例が挙がっている。また,Oxford Dictionary of Englishにはthe relative effectiveness of the various mechanisms is not knownという例が挙がっており,これも三者以上の比較を意味するものだ。これは以下のように図解できるだろう。
以上をふまえ,最初の引用の下線部をどう読みほどけばよいかを考えてみよう。importanceはこの場合「どれだけ重要であるか」と間接疑問にほどくのが適切だろう。となると「危機がそれぞれどれだけ重要であるか」と考えればよい。relativeは「それぞれ」となるわけだが,三者以上の比較を表す図解を見れば納得がいくのではないだろうか。


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