Oxford University Pressから,Oxford Read and Discoverという,子ども向けの科学読みもののシリーズが刊行されている。ちょっとした仕事に必要で何か易しい読みものを,と探して見つけたものだ。600語レベルのLevel 3から1,050語レベルのLevel 6までの4段階が設定されており,分野はThe World of Science & Technology,The Natural World,The World of Arts and Social Studiesの3つがある。言い回しは全体に易しく,説明文も読みやすいが,内容はなかなか充実していて,日本の中学・高校生はもちろん,大学の基礎レベルでも十分に教材として使えるものだ。
とりわけ,英文の基本的な論理展開を理解するうえで,子ども向けの記述スタイルは役に立つ。というのは,展開形式が比較的単純で把握しやすいからだ。今回はこの点に注目し,Level 3のLife in Rainforestsの引用から学んでみることにしよう。
まずは段落内部の論理展開から見ていこう。"Plants"という章の1段落である。
We can make things from rainforest plants, too. People [1]make clothes and bags from pinapple leaves. We also use some plants to [2]make medicines. We can use some rainforest trees, like the balsa tree, [3]for wood. We can use the rubber tree for latex to [4]make rubber. (p.8)
注目したいのは,「1パラグラフ1トピック」の原則が見事なまでに貫かれている点だ。トピック・センテンスで提示した内容を,それ以降の4つの文でぶれることなく展開している。特に,トピック・センテンスのmake thingsというキー・フレーズの具体例が,後続の4つの文で提示されている。以下の図で確認してほしい。展開が複雑になってくると,必ずしもこのような図で示せるとはかぎらないが,この段落ではきれいに図示することができる。特に段落の展開を意識して学習する初期の段階では,このようなものから入るのが望ましいと言えるだろう。

続いて,複数段落の論理展開を見ていくことにする。Rainforest Layersという章で,熱帯雨林がどのように層をなしているかを解説する文章である。
Tropical rainforests have layers. The top layer is the emergent layer. The tops of the tallest trees are in this layer. It's very windy! Eagles and bats live here.
The next layer is the canopy. The big branches and leaves of the tall trees are here. There are many types of animal in this layer, because there's light ad lots of food. Monkeys and toucans live in the canopy.
The next layer is the understory. The tops of the small trees are in this layer. It's dark and hot. Jaguars and tree frogs live here.
The bottom layer is the forest floor. The roots of the trees are in this layer. Many insects live on the forest floor. Some big animals like anteaters live here, too. They eat the insects. (p.7)
まずここでは,複数段落で1つの大きなトピックを展開する場合の原則を確認することができる。それは,最初の段落で大きなトピックとそのサブ・トピックを提示し,2つ目以降のサブ・トピックはその後1段落ずつで展開する,というものだ。上の引用では,第1段落第1文が大きなトピックで,第2文が最初のサブ・トピックである。第2段落以降では,それぞれ最初の文がサブ・トピックを提示している。また,第1~4のそれぞれの段落で,サブ・トピックを示す文の内容が展開されている。
サブ・トピックの展開も明快である。それぞれのサブ・トピックについてはまず,トピック・センテンスでそれぞれの名称が提示される。その後には,それぞれのそうが植生のどの部分に当たるかが説明される。その後の展開には段落ごとにややバリエーションがあるが,共通しているのはそれぞれの層にどんな動物がすんでいるかの説明だ。さらに,第1段落のIt's very windy!,第2段落のbecause there's light (and lots of food),第3段落のIt's dark and hot.のように,それぞれの層の主に気象に関する情報を示す部分が入る場合もあり,その部分は動物の具体例の前に置かれている。それぞれの段落の論理展開の構造がほぼ同じになっており,読みとりやすくなっている。
このような文章を論理展開に十分注意しながら読むことで,パラグラフ・ライティングの基礎がつかめるだろう。また,リーディング力向上にも大きく役立つものと思われる。特に,論理構造に注意しながら,字数を変えて要約する訓練が有効ではないだろうか。たとえば,上の引用を30字以内で要約すると以下のようになる。
【要約例①】
熱帯雨林には,超高木層,林冠層,低木層,林床の4層がある。
この例は,主トピックとサブトピックの内容だけをまとめたものである。
これが100字以内になると,サブトピック+植生の説明で要約を作成すればよい。
【要約例②】
熱帯雨林には4つの層がある。いちばん上は高い木のてっぺんに当たる超高木層,次に高い木の大きな枝や葉のある林冠層,続いて低い木のてっぺんに当たる低木層,そしていちばん下が木の根がある林床である。
さらに字数を増やすときには,それぞれの層にすむ代表的な動物に関する記述を加えればよい。
もちろん,これを形式的にあらゆる文章に当てはめられるわけではないし,そうした考えかたは望ましいものではない。しかし,このように明快な展開の文章で基礎訓練を積み,次第にさまざまなバリエーションに慣れていくことは有益であるだろう。