April 20, 2018

放送大学大学院修士全科生入試の英語試験のための準備学習

 YouTubeのinshijukuチャンネルで公開している動画講義「放送大学大学院入試」でも述べているとおり,放送大学大学院修士全科生入試の筆記試験は毎年10月上旬に行われる。つまり,今から準備学習に使うことのできるのは6か月弱ということになる。臨床心理学,自然環境科学,情報学以外のプログラムでは,筆記試験問題に英語問題が含まれる。試験問題は放送大学公式ウェブサイトで公開されているので,英語が出題されるプログラムを受験予定の人は今すぐに確認するのがよいだろう(ただし,著作権の関係上,本文が公開されていない問題もある)。院試塾に寄せられる受講相談では,英語の基礎力不足を感じており,苦手意識もあるので英語試験が不安だ,という声をよく聞く。そのような人は今すぐに準備を始めるのが適切だ。院試塾では筆記試験問題に英語が含まれるプログラムを受験する方を対象とする「放送大学大学院トータルサポートパック」を設置しており,このパックに含まれる「大学院入試英語入門プログラム」の標準学習期間は4か月である。この講座を標準の4か月で修了して過去問題演習にとりくむのに十分な実力を身につけようとするならばかなりがんばってもらわないといけない。その後過去問題で演習をしてさらに実力養成にとりくむのがよいだろう。すでに述べたとおり,このように学習を進めていくためには6か月程度の時間が必要で,10月上旬に筆記試験が行われることを考えれば,英語力に不安がある人は今すぐに学習をはじめるべきなのである。

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April 15, 2018

文脈から内容を適切に理解する技法

 英文の内容を適切に理解するためには,全体の内容を考慮しなければならない。これが「文脈」と呼ばれるものの威力である。たとえば,以下の引用例の下線部[B]のmissionaryはどのような意味であろうか。


The best-known religion of history, such as Islam and Buddhism, are [A]universal and [B]missionary. Consequently people tend to believe that all religions are like them. In fact, the majority of ancient religions were [C]local and [D]exclusive. Their followers [E]believed in local deities, and [F]had no interest in converting the entire human race. (Yuval Noah Harari, Sapiens: A Brief History of Humankind, Amazon Kindle版位置No.3238)

まず,下線部[A]のuniversalと{B]のmissionaryがそれぞれ[C]のlocal,[D]のexclusiveと対比関係になっている点に注目したい。つまり,この文脈においてmissionaryはexclusiveの反意語になっていると考えることができるわけである。続いて下線部{E]{F]に目を転じると,[E]では[C]のlocalを承けて「その地域独特の神を信じている」,[F]では[D]のexclusiveの具体的な説明として「人類全体を改宗させることに興味がない]という内容が述べられている。この流れのなかでとらえると,下線部{B]のmissionaryは「布教に熱心である」ととらえることができるのである。ところが辞書を見ると,missionaryが「布教に熱心である」という意味であることはわかりにくいのである。

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April 06, 2018

way構文の実例をさらに紹介

 「他動詞+one's way+経路表現」の形で「~しながら/することによって進む」という意味を表すway構文について,このブログでもこれまでに何度かとりあげて解説してきたが,今回は興味深い実例をさらに紹介しておこう。


These changes in vegetation influenced the animals that ate the plants and the carnivores that ate the vegetarians. Koalas, which subsist exclusively on eucalyptus leaves, happily munched their way into new territories. (Yuval Noah Harari, Sapiens: A Brief History of Humankind, Amazon Kindle版位置No.1116)

この構文は言語学用語を使うと「生産的」なもので新しいものがどんどん出てくるので,すべてを辞書に収録することはとうてい不可能である。『ルミナス英和辞典』にはwayの項でmake one's wayのバリエーションとしてさまざまなway構文のパターンが紹介されているが,そのなかにもmunch one's wayはない。つまり,上の引用例のmunched their way into new territoryはway構文の基礎知識をもとに自分なりに解釈していかなければならないのである。munchは「むしゃむしゃ食べる」という意味の動詞なので,「ユーカリの葉をむしゃむしゃ食べながら新しい領域に進出していく」といった意味なのである。

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March 18, 2018

way構文についてさらに―eat one's way into /out of obesity

 このブログでこれまでに何度か,動詞+one's way+経路表現という形をとるway構文をとりあげた。この構文は言語学的に言うとかなり「生産的」で,とてもすべての事例を辞書で扱いきれるものではない。
 ところで,この構文についていろいろ考えていたところ,eat one's way into [out of] obesityと言えるのではないかと考えて,Google検索で実例を探してみたところ(実に便利な世の中になったものだ!),かなりの実例が見つかった。この例なども,eatとwayは意味的にふつうに考えれば結びつくはずのない語で,この構文の知識があってはじめてすんなりと理解できるものであろう。なお,eat one's way into obesityは「食べものが原因で肥満になる」,eat one's way out of obesityは「食べものに気をつけて肥満から脱する」という意味である。

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March 05, 2018

目標達成と自己成就予言

 心理学の用語に「自己成就予言」というのがある。思いこみやうそなどの根拠のない予言でも,人々がそれを信じた行動をとることで予言の内容が現実になる,というもので,よくある例として銀行の取りつけ騒ぎが挙げられる。つまり,ある銀行が倒産するという根拠のないうわさを聞いた人々がその銀行から預金を引き出すと,結果としてその銀行が倒産してしまう,というものである。大学院入試の指導をしていると,目標を達成できるかどうかもこの自己成就予言のようなものではないか,と感じてしまう。つまり,「自分にはできる」と思っている人は目標を達成するし,「自分にはできない」と思っている人は目標を達成できないのである。
 世の中には「不安【だから】やらない」という人と,「不安【だけど】やる」という2種類の考えかたがある。目標を設定するのはもちろん後者である。ところが実際に見ていると,前者の考えで行動している人が実に多い。そういう人はそもそも成功につながる行動を起こさないので,成功することはありえないのである。

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February 26, 2018

語の意味を文脈から考える

 語の意味は常に文脈との関連で考えなければならないと,このブログでも何度も説いてきた。今回もそのように解釈しなければ適切な解釈にたどりつくのが難しい例を紹介しよう。


Insights are unique n some other ways. When they do appear, they are coherent and unambiguous. They don't come as part of a set of possible answers. [A]When we have the insight, we think, ”Oh yes, that's it. [B]We feel a sense of closure. This sense of closure produces a feeling of confidence in the insight. [C]Wallas claimed that the flash of illumination results in a feeling of certainty. We aren't picking an idea that seems better than others. [D]Instead, we're struck that this is the answer, the happy idea. (Gary Klein, Seeing What Others Don't: The Remarkable Ways We Gain Insights, Amazon Kindle版位置No.477)

下線部[B]のclosureとはどういう意味であろうか。辞書を引いてみると,以下のような語義が挙がっている。

  1. 閉鎖,廃校,閉店,廃業

  2. ふた,キャップ;ひも,ファスナー

  3. 終了,終結,結末

  4. 最終的な)心の整理,気持ちの区切り


この中から適切な語義を選ぶためには,文脈の流れを考えあわせる必要がある。まず,下線部{A]のthat's itに注目しよう。that's itは「これが望んでいたものだ」という意味の表現で,このように思うことを下線部{B]と言っているわけである。ここから,このclosureの意味は4.であるとわかる。この読みは下線部[C]にa feeling of certaintyとあり,さらに下線部[D]にthis is the answerとあることからも裏づけられる。

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February 25, 2018

数量・種類の形容詞に相当するa(n)+数量・種類の名詞+of

 以前「学校英語できちんと教えないこと―a(n)+数量・種類の名詞+of=数量・種類の形容詞」をはじめとする一連の記事で,a(n)+数量・種類の名詞+ofが数量・種類の形容詞に相当する例を紹介して解説した。今回もそのような例をとりあげることにしよう。


The books on innovation yielded a harvest of examples from science, inventions, business, and management. (Gary Klein, Seeing What Others Don't: The Remarkable Ways We Gain Insights, Amazon Kindle版位置No.561)

辞書でharvestを引いても,a harvest ofが数量・種類の形容詞に相当する意味をもつという記述はないが,a(n)+数量・種類の名詞+ofが数量・種類の形容詞に相当する場合があることを知っていれば,上の引用例の下線部のa harvest of examplesは「豊富な実例」という意味ではないかと考えることができるわけである。

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専門用語の解釈―the Three Jewelsとは?

 学術英文を読む際には,ある語が一般的な語彙として用いられているのか,それとも専門的な意味で用いられているのかを,背景知識に照らして正確に把握する必要がある。そのような実例を紹介して解説しておこう。


Later literature provides a list of forty meditation subjects. To choose the right subject requires skill and discrimination, and a teacher is invaluable in assessing the personality of the student and finding the right subject to suit his or her personality and spiritual needs. For example, someone who is attached to bodily pleasure might be instructed to meditate on the body as impermanent, subject to old age and sickness, and full of impurities, in order to weaken attachment to it. A person of simple piety, on the other hand, might be instructed to meditate of the Buddha and his virtues, or on the ‘Three Jewels’, namely the Buddha, the Dharma, and the Sangha. (Damien Keown, Buddhism: A Very Short Introduction, Amazon Kindle版位置No.1716-24)

下線部のthe ‘Three Jewels’は「3つの宝石]ではなく「三宝」と訳さなければならない。これがわかるためには,まずこのthe ‘Three Jewels’がnamely以下で仏・法・僧と言い換えられている点に注目する必要がある。この言い換えに気がつくことができ,仏教学を少しでもかじったことがあれば,the ‘Three Jewels’が「三宝」を意味していることはわかるはずなのである。
 なお,いろいろな辞書で確認してみたのだが,Three Jewelsを独立した見出しとしているのは『英辞郎』だけであった。この記述によると,Three Treasuresという言いかたもするとある。なお,英和辞典でjewelを引くと,たとえば『ルミナス英和辞典』には,「素晴らしい人[物]」という意味が載っている。
 最後に参考までに,仏教伝道協会の『仏教聖典』から,三宝に関する記述を引用しておこう。

仏教を信ずる者とは,三宝,すなわち,仏と教えと教団を信ずる者のことであるということは,すでに説いた。(Amazon Kindle版位置No.2070)

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February 18, 2018

文脈に即した語義理解―辞書的解釈を超えて

 readinessを英和辞典で引くと,「進んで~すること」のような語義が見つかる。しかし,この訳語を見ると,する側の積極性が読みとれるわけであるが,次の引用例のような場合,そのような解釈ははたして適切であろうか。


"Overreaction" also comes from the experience that people have had with loss in the past. When old losses haven't been adequately dealt with, a sort of transition deficit is created―a readiness to grieve that needs only a new ending to set it off. (William Bridges, Managing Transitions: Making the Most of Change, Amazon Kindle版位置No.711)

適切な解釈に到達するためには,この名詞化のもとの形であるready to Vに戻って考える必要があるだろう。この形に戻って英和辞典を引いてみると,readinessだけでとらえていたときとは違う理解のしかたが示されているのに気がつく。たとえば『ルミナス英和辞典』の記述をbe ready to Vという形に注目して検討してみると,「今にも…しようとして; すぐ…しがちで」という語義が見つかる。これをもとにreadiness to Vの意味を考えてみると,「すぐにVしがちであること」という理解にたどりつけるであろう。この理解をもとに,上の引用例の下線部も,「すぐに深く悲しんでしまう心の状態」のように理解できるであろう。

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放送大学大学院入試―安易に考えてはいないか?

 すでにこのブログでも解説しているが,放送大学大学院に修士号取得を目指す修士全科生として入学するためには入試がある。まずはこの点をしっかり認識しておく必要がある。というのも,放送大学の教養学部は資格条件を満たしていれば誰でも入学可能なので,大学院も同じだと考えている人が多いようだからだ。
 さて,この入試であるが,一部のプログラムを除いては筆記試験に英語が含まれている。まずは公式サイトの過去問題を見て確認してほしい。院試塾の過去の指導経験から言っても,基礎からの学習が必要な人が多い。院試塾の「放送大学大学院トータルサポートパック」では,このような人が多いと想定して,高校英語レベルの読解文法から学習する「英文読解スーパーベーシックゼミ」に「大学院入試英語基礎講義」をセットにした「大学院入試英語入門プログラム」を英語講座としてセットにしている。過去問題の指導については別途,「放送大学大学院入試英語演習」で対応しているが,過去問題を確認してみるとわかるように,著作権の関係で本文が非公開とされているものも多く,注意が必要である。
 英語以外の筆記試験は小論文形式のものが多い。小論文だからと安易に考えている人が多いようだが,多くの人は小論文のきちんとした書きかたを知らない。ただ知識があれば書けると考えている人があまりに多いのである。院試塾では「大学院入試小論文指導」で大学院入試の小論文指導を行っているが,最初の段階でかなり苦労する人が多い。上述の「放送大学大学院トータルサポートパック」には,過去問題から最新の2年分の指導が含まれている。
 また,出願の際に提出が求められる研究計画書・志望理由書で苦労する人も多い。おそらく,「研究」について真剣に考えるのははじめて,という人が多いのであろう。ところが「研究計画書」は「研究」の「計画」を書くものであるから,「研究」とはどのようなものであるかは当然理解できていなければならない。つまり,研究そのものについて学ぶことからはじめる必要があるのだ。この学習にはまず,専門分野の概説書を読み,当該分野でどのような研究が行われているかを把握し,概説書で紹介されている専門的研究を選んで読みすすめていかなければならないのである。それなりに時間と労力をかける必要がある。
 また,志望理由書を書くためには,自分が大学院でどのような研究をしたいのか,また,それは大学院修了後にどのような自分になっていたいのかを十分に考え,そのために大学院在学中にどのようなことを身につけなければならないかを正確に検討したうえで,そのために必要な大学院の資源(特に所属教員と開設授業)を見きわめる必要があるのだ。
 このように,放送大学大学院入試に出願して首尾よく合格するためには,多くのハードルを越えなければならない。相当の時間と手間をかける必要がある。安易に考えていてはいけないのである。

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«研究計画にインタビュー・アンケートを含める場合に注意すべきこと