December 05, 2016

「知っているはず」の単語の意味をよく考えることの大切さ

 英語を少しでも真剣に学んだ経験のある人に,wonderfulという単語はどういう意味か,と質問したら,「バカにするなよ」という感じで「すばらしい」と答えるのではないだろうか。ところが,辞書を引いてみるとわかるように,実はwonderfulには「驚嘆すべき」という意味もあるのだ。そしてもちろん,wonderfulを「すばらしい」ではなく「驚嘆すべき」と解釈しなければならない文脈というのも存在するのである。実例を紹介しておこう。


Think about it. Suppose you could buy a computer and software that would make you completely happy. From your point of view, that's good. But, oops, from the point of view of the computer manufacturers, that's a problem. How would they make money if their customers were so happy that they wouldn't need to buy anything else? Horrors. There is only one solution to their dilemma: They need to make you unhappy with what you have and make you want something else. Isn't this wonderful: An industry whose business model is based upon the need to make their customers unhappy. (Donald Norman, The Invisible Computer: Why Good Products Can Fail, the Personal Computer Is So Complex, and Information Appliances Are the Solution, Amazon Kindle版位置No,929-33)

この引用例の下線部のwonderfulは内容から考えて「すばらしい」という意味ではない。ここで「知っている」意味を無理矢理当てはめるのではなく,「あれ,おかしいぞ」と思って辞書を引いてみると,「驚嘆すべき」という意味もあって,この文脈ではこの意味で解釈するのが適切であると判断できるのである。

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December 04, 2016

名詞化の読みほどき―訳文を大げさにしないために

 名詞化を適切にほどかないで訳すと,内容に似合わない漢語を羅列した「大げさな」訳文になってしまうことが多く,このような事態を避けてわかりやすい訳文を書くためにも,名詞化の展開の基本を知っておくことは大切なのである。実例で考えてみよう。


The systems approach leads to the [1]realization that we need not individual products but whole product families structured to work together smoothly and effortlessly. Consider the needs of a photographic family of appliances. A camera alone is not sufficient, not even if the camera has a viewer on the back to allow [2]immediate examination of the pictures. (Donald Norman, The Invisible Computer: Why Products Can Fail, the Personal Computer Is So Complex, and the Information Appliances Are the Solution, Amazon Kindle版位置No.743-5)

[1]のrealizationはたとえば漢語を用いて「理解」などと訳すのではなく,もとの動詞realizeに戻して「~だとわかること」などとするのがよかろう。あわせて,動詞realizeに続くthat節が「継承」される点にもあわせて注目しておきたい。[2]も「即時の点検」などとはせずに,「~をすぐに見てみること」などと解釈するのがよいであろう。動詞examineの目的語がof句になることもあわせて確認しておこう。

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分詞構文で明示されない意味関係を「補強」するしかけ(2)

 「分詞構文で明示されない意味関係を「補強」するしかけ」で解説した内容に関する実例を追加しておくので,ポイントをよく確認してみてほしい。


The best way to understand information appliances is to experience them. Information appliances have actually been with us for some time in the guise of musical instruments, measurement devices, and calculators. Devices such as electric guitars, digital voltmeters, electrocardiograph monitors, and school calculators are all appliances, as are fax machines and telephones, both fixed and cellular. Moreover, some of these are capable of communicating with one another, thereby dramatically enhancing their capabilities. (Donald Norman, The Invisible Computer: Why Good Products Can Fail, the Personal Computer Is So Complex, and the Information Appliances Are the Solution, Amazon Kindle版位置No.678-80)

この例でもやはり,わかりにくくなってしまうことの危惧される主節と分詞構文との意味関係がtherebyという副詞で補強されているわけである。

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分詞構文で明示されない意味関係を「補強」するしかけ

 分詞構文では接続詞が使われないので,主節と分詞構文との意味関係は不明確になってしまう。このリスクを冒してでも簡潔性を優先するのが分詞構文であるわけだが,実は明示されない意味関係を「補強」するためのしかけも存在する。接続詞を残すwhen Vingやwhile Vingなどはこの代表例であるわけだが,節どうしの意味関係は接続詞だけでなく副詞でも表すことができ,分詞構文においても副詞によって意味関係を補強している例が見られる。そのような例を紹介しよう。


To me, the primary motivation behind the information appliance is clear: simplicity. Design the tool to fit the task so well that the tool becomes part of the task, feeling like a natural extension of the work, the natural extension of the person. This is the essence of the information appliance. It implies specialization of function, thus allowing a customized look, shape, feel, and operation. (Donald Norman, The Invisible Computer: Why Good Products Can Fail, the Personal Computer Is So Complex, and the Information Appliances Are the Solution, Amazon Kindle版位置No.632)

上の引用例の下線部のallowingは先行する主節を修飾する分詞構文である。主節と分詞構文の意味関係は副詞のthusで明示されており,この文は「情報機器では機能が分化しており,そのためにニーズに応じた外観,形状,使い心地や操作性を持たせることができるのである」という意味になるのである。

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December 03, 2016

分詞構文の解釈の実践演習

 「分詞構文の本質的理解」で解説した内容を,実例で実践演習してみることにしよう。


In addition, satisfied users become repeat purchasers, likely to recommend both the product and the company to friends and colleagues, enhancing the overall reputation. (Donald Norman, The Invisible Computer: Why Good Products Can Fail, the Personal Computer Is So Complex, and Information Appliances Are the Solution, Amazon Kindle版位置No.605)

上の引用例の下線部の-ing形は名詞用法でも形容詞用法でもないので副詞用法である。修飾対象はrecommend ...以下の動詞句であると考えてよいであろう。意味関係は,「製品と会社を友人や同僚に勧めて,[結果として]評判全体を高めてくれる」と考えればよいであろう。

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「意味をつかむ」英文読解

 当たり前のことではあるが,英文読解の目的はそこに何が書いてあるかをしっかりつかみ取ることである。そのためにどのような考えかたが必要か,実例を通じて確認しておこう。


In the beginning stage of a technology, products are driven by the needs of technically sophisticated consumers. (Donald Norman, The Invisible Computer: Why Good Products Can Fail, the Personal Computers Is So Complex, and Information Appliances Are the Solution, Amazon Kindle版位置No.489)

下線部のtechnically sophisticated consumersを「技術的に洗練された消費者」と機械的に訳してみたところで,英文の意味内容がつかめているとは言いがたい。まず,「-ly副詞の解釈―『~的に』からの脱却」や「-ly副詞の解釈―『~的に』からの脱却(2)」で解説した方法にしたがって,technicallyを派生元の名詞technologyに戻してsophisticatedとの連語関係からtechnologyとsophisticatedとの関係を考えていくのがよい。『英和活用大辞典』を引くと,次の2つの例文が見つかる。

  1. We are more sophisticated about gender roles, but our basic instincts have not changed at all.「男女の役割についての知識は前よりふえたが,私たちの基本的な本能はちっとも変わっていない」

  2. The children have become fairly sophisticated in the use of word processors.「その子供たちはワープロの使い方がとてもじょうずになった」


ここでは1.の例文にそって,technically sophisticatedをsophisticated about technologyととらえなおすことにしよう。
 また,上の『英和活用大辞典』の例文の訳からもわかるのだが,sophisticatedは定番の訳語とされている「洗練されている」で解釈するのはこの場合適切ではない。これについては英英辞典(COBUILD)の語義を見てみよう。

    A sophisticated person is intelligent and knows a lot, so that they are able to understand complicated situations.

『英和活用大辞典』の例文の訳と上の定義文とを考え合わせると,sophisticatedは「知識の豊富な」と考えるのが適切であると判断でき,上の引用例のtechnically sophisticated consumersは「技術のことをよく知っている消費者」と意味を的確に「つかみとる」ことができるのである。

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分詞構文の本質的理解

 高校英語で「分詞構文」は難しいポイントとされているようであるが,それは分詞構文の本質を見ないで「特殊化」してとらえているからではないかと考える。まずは全体像からとらえていこう。動詞の-ing形には,以下の3つの用法がある。


  1. 名詞用法:主語,補語,目的語,前置詞の目的語になる

  2. 形容詞用法:補語になる/名詞を修飾する

  3. 副詞用法:名詞以外を修飾する


-ing形の場合はこれらの用法に2つの異なる名前をつけている。すなわち,-ing形の名詞用法を[動名詞]と呼び,形容詞・副詞用法を「現在分詞」と呼んでいる。過去分詞の場合には名詞用法がなく,形容詞・副詞用法のみである。そのうえで,この(現在・過去)分詞の副詞用法を「分詞構文」と呼んでいるのである。
 このことをふまえて次の実例を見てほしい。

Theia’s out layers vaporized into billions of tiny particles. Debris flew everywhere, [1]surrounding the earth with an enormously thick blanket of hot dust, rock and granite. [2]Trapped by the earth’s gravity, this fog of rubble swirled around in the sky [3]making everything go dark.(Christopher Lloyd, What on Earth Happaned? ... In Brief: The Planet, Life & People from the Big Bang to the Present Day, Amazon Kindle版位置No.159)

 まず[1]のsurroundingを見ていこう。この句は主語,補語,目的語,前置詞の目的語になる名詞用法でもなければ補語になったり名詞を修飾したりする形容詞用法でもなく,名詞以外を修飾する副詞用法,つまり分詞構文であり,名詞以外を修飾していると考えることができ,ここではDebris flew everywhereを修飾している。なお,形式上はこの主節を修飾しているのだが,その意味関係は2つの内容の関係から考える必要がある。つまり,次の2つの内容がどのように関係しているかを文脈などから考えるわけである。

  • 破片が四方八方に飛び散った

  • 地球が高温の塵,岩石や花崗岩に覆われた


分詞構文ではこの2つの内容の意味関係が接続詞などで明確に表されているわけではないので,両者の「つながり」は内容面から判断するしかない。また,発信者の立場から言うなら,両者の関係が相手にはっきりわかると考えたからこそ接続詞などを使わない形を選択しているわけだ。この文の場合,いわゆる「付帯状況」の意味で解釈して,「破片が四方八方に飛び散って,[その結果]地球が高温の塵,岩石や花崗岩に覆われた」と解釈するのが適切であろう。
 続いて[2]について考えてみよう。この過去分詞の句も主節を修飾しているので分詞構文であると判断できる。やはり分詞の句と主節の内容との関係から意味を考えてみると,この分詞構文は理由を表すと考えて差し支えないであろう。さらに[3]については,[1]と同様に付帯状況(連続動作)を表すと考えることができるであろう。

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December 02, 2016

実例で学ぶ「クジラの構文」

 いわゆる「クジラの構文」については,これまでこのブログで何度かとりあげてきた。その度ごとに,「ウマ・クジラ・魚」の組み合わせでなくてもすんなり理解できるかと問うてきた。今回は実例を挙げながら,このいわゆる「クジラの構文」について少し詳しく説明していこう。
 まず,よく知られている「ウマ・クジラ・魚」が登場する例文で,この構文の基本を確認しておこう。よくとりあげられる例文はA whale is no more a fish than a horse is.「クジラはウマと同様に魚ではない」である。この文では,以下の2つの命題を同時に否定している。


  1. A whale is a fish.

  2. A horse is a fish.


その際,than以下で示される命題(上の対で言うと2.)のほうが自明のことがらで,こちらが基準となる。つまり,「ウマが魚ではない」ことは自明であるから,これを基準にして同様に「クジラも魚ではない」と言っているわけである。
 それでは,この理解をふまえて実例を見てみよう。

If you have the right executives on the bus, they will do everything within their power to build a great company, not because of what they will "get" for it, but because they simply cannot imagine settling for anything less. Their moral code requires building excellence for its own sake, and you're no more likely to change that with a compensation package than you're likely to affect whether they breathe. (Jim Collins, Good to Great: Why Come Companies Make the Leap ... and Others Don't, Amazon Kindle版位置No.847-52)

この引用例の下線部を基本例文と同じように解釈してみよう。まず,同時に否定される2つの命題は以下のものである。

  1. you're likely to change that with a compensation package

  2. you're likely to affect whether they breathe


つまり,「給与体系で彼らが呼吸するかどうかが影響されない[のが自明である]のと同じように,彼らの倫理観を給与体系で変えられる可能性もないのである」と解釈できるのである。

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現在完了の本質

 学校文法では,現在完了形は過去形との対立関係でとらえることが多いだろう。たとえば,明らかに過去を表す語句と過去形はともに用いることができるが,このような場合に現在完了形を用いることができない,といったようにである。しかし,過去形との対比だけでは現在完了形の本質をとらえられるとは言いがたい。実は,「現在完了形」という名前にこの形の本質が反映されている。つまり,現在完了形は現在時制の一形式であるので,それが表す内容も基本的には現在の内容なのである。つまり,現在のことがらを表すからこそ「現在完了形」という名前がついているのである。このように考えれば,明らかに過去を表す語句と現在完了形をいっしょに用いることができないのは,ごく当たり前のことなのである。以下の例との関連でこのことを考えてみよう。


With all the attention paid to executive compensation―the shift to stock options and the huge packages that have become common-place―surely, we thought, the amount and structure of compensation must play a key role in going from good to great. (Jim Collins, Good to Great: Why Some Companies Make the Leap ... and Others Don't, Amazon Kindle版位置No.830-4)

この例でもわかるように,現在完了形が焦点を当てているのは,過去に一般的になるという変化が生じたことではなく,過去にそのような変化が生じた結果,現在ではそれがごく一般的になっていることなのである。現在の状況が関心の中心なので,このhave becomeに過去を表す副詞句をかけるのはおかしいのである。

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